臓器提供・献体の意思表示と登録方法|家族が知っておくべき死後の手続き
臓器提供は健康保険証・運転免許証裏面やマイナンバーカードの意思表示欄への記入、または日本臓器移植ネットワーク(JOT)への登録で意思表示できます。献体は大学医学部や篤志解剖団体への生前登録が必要です。どちらも家族の同意や立会いが関わるため、生前に本人から家族へ伝えておくことが実現のカギになります。
「臓器提供をしたい」「医学の発展のために献体をしたい」という意思は、本人が元気なうちに記録し、家族に共有しておかないと、死後に実現が難しくなることがあります。この記事では、臓器提供・献体それぞれの意思表示の方法と、いざというときに家族がどう動けばよいかを整理します。
1. 臓器提供の意思表示方法(カード・保険証・マイナンバーカード)
臓器提供の意思表示は、次のような方法で行えます。いずれも無料で、いつでも書き換え・撤回が可能です。
- 臓器提供意思表示カード(ドナーカード) — 市区町村役場や保健所、一部のコンビニ・郵便局などに設置されています。財布や手帳に入れて携帯します。
- 健康保険証・運転免許証の裏面 — 意思表示欄が印刷されており、該当する意思に丸をつけて署名するだけで記入できます。
- マイナンバーカードの裏面 — 同様に意思表示欄が設けられています。
- 日本臓器移植ネットワーク(JOT)のウェブサイト — インターネット上で意思登録ができます。
意思表示の内容は主に「臓器を提供する」「一部の臓器は提供しない」「提供しない」の中から選び、署名します。特定の臓器だけを提供したくない場合は、その旨を記入する欄も用意されています。
2. JOTへの登録とドナーカード携帯の意味
日本臓器移植ネットワーク(JOT)は、臓器提供と移植をつなぐ公的な組織です。意思表示カードやウェブサイトからの登録内容は、いざというときに医療機関やコーディネーターが確認する情報になります。
- カードを携帯する意味 — 財布や手帳に入れておくことで、救急搬送時など本人が話せない状況でも、家族や医療者が意思を確認できます。
- 複数の場所に記録する — 保険証・免許証・マイナンバーカードなど、複数の書類に記入しておくと、どれか一つが見つからなくても意思が伝わりやすくなります。
- 家族への共有が前提 — カードや登録の存在自体を家族が知らなければ、確認するタイミングを逃してしまいます。
意思表示の内容は、[[ending-note-kakikata]]のようなエンディングノートや、家族との会話の中でも触れておくと、より確実に伝わります。関連記事として「エンディングノートの書き方」もあわせてご覧ください。
3. 献体を希望する場合の生前登録
献体(医学・歯学の教育や研究のために遺体を提供すること)を希望する場合は、意思表示カードとは別に、生前のうちに正式な登録手続きが必要です。
- 希望する大学医学部・歯学部に申し込む — 献体を受け入れている大学に直接連絡し、申込書に記入します。
- 篤志解剖の団体を通じて登録する — 各地域にある篤志解剖団体(白菊会など、地域ごとに名称は異なります)を通じて申し込む方法もあります。
- 家族(親族)の同意が求められることが多い — 多くの大学で、本人の意思だけでなく、同居家族や近親者の同意を条件としています。
- 献体は無報酬 — 謝礼や対価を目的とするものではなく、あくまで教育・研究への協力です。
献体後の遺体は、解剖実習等を経て火葬され、遺骨は一定期間を経て大学から家族へ返還されます。返還までの期間は大学ごとに定めがあるため、申込時に確認しておきましょう。
4. 家族の同意が必要なケースと、意思共有の重要性
臓器提供・献体のいずれも、「本人の意思」だけでなく「家族の対応」が関わってくる点が共通しています。
- 脳死後の臓器提供 — 本人が意思表示をしていても、家族が提供を拒まないことが前提になります。
- 心停止後の臓器提供 — 本人の意思表示がなくても、家族の承諾のみで提供が行われる場合があります。
- 献体 — 多くの大学で、本人の申込みに加えて家族の同意書を求められます。
つまり、本人がどれだけしっかり意思表示をしていても、家族がその存在を知らず、いざというときに戸惑ってしまえば、希望が実現しないこともあり得ます。[[oya-to-mosimo-no-hanashi]]で触れているように、こうした「もしも」の話は、元気なうちに一度、家族と直接話しておくことが何より大切です。関連記事「親と「もしも」の話をするタイミング」もご参照ください。
5. 死亡時に家族が行う連絡・搬送・返還までの流れ
実際に本人が亡くなったとき、家族がどう動くかを事前にイメージしておくと安心です。
- 臓器提供の場合 — 医師から臓器提供の可能性について説明があった際に、本人の意思表示カードやマイナンバーカード等の記録を提示します。院内のコーディネーターや日本臓器移植ネットワークが家族への説明・意思確認を行い、家族が承諾したうえで提供の手続きが進みます。提供後は、通常どおり葬儀・火葬の手配に進みます。
- 献体の場合 — 逝去後、できるだけ早く登録先の大学または篤志解剖団体に連絡します。多くの大学で死亡から搬送までに条件(時間的な制約や健康状態の確認)を設けているため、事前に確認していた連絡先・条件に沿って対応します。搬送後は大学側で解剖実習等が行われ、終了後に火葬・遺骨の返還が行われます。
「もしも」の意思を、家族がすぐ確認できる場所に
ReliefNote は、臓器提供・献体の意思表示や登録先の連絡先を、口座や保険と同じように1か所に記録しておけるアプリです。生前に共有しておけば、いざというとき家族が探し回らずに済みます。無料。
ReliefNote を無料で使ってみる6. よくある質問
健康保険証・運転免許証の裏面やマイナンバーカードの意思表示欄に記入するほか、日本臓器移植ネットワーク(JOT)のウェブサイトやドナーカードでも意思表示できます。複数の方法で記録しておくと家族に伝わりやすくなります。
脳死後の臓器提供では、本人が意思表示していても家族が提供を拒まないことが前提になります。心停止後の提供は本人の意思表示がなくても家族の承諾のみで行える場合があります。いずれも家族の理解が欠かせません。
希望する大学医学部や、篤志解剖の団体に生前登録の申し込みをします。多くの大学で本人の意思に加えて家族(親族)の同意を求められるため、申し込み前に家族へ伝えておくことが大切です。
できれば生前のうちに、本人から直接伝えておくのが理想です。カードや登録の存在を家族が知らないと、死後に確認が間に合わず、本人の希望が実現できないことがあります。
