相続

配偶者居住権とは?しくみと申請・登記の注意点

2026年10月2日監修:ReliefNote 創業者 北林 歩読了 約7分
結論

配偶者居住権とは、配偶者が亡くなった人の自宅に原則として亡くなるまで無償で住み続けられる権利です。2020年4月に始まった制度で、婚姻期間の長さは要件に含まれません。

この記事の内容
  1. 配偶者居住権とは?意味と成立要件
  2. 配偶者短期居住権との違いと使い分け
  3. 登記をしないと対抗できない点と登記手続きの流れ
  4. どの方法で設定できるか(遺産分割・遺言・審判)
  5. 相続税評価額への影響とメリット・デメリット
  6. よくある質問

配偶者居住権は、残された配偶者が住み慣れた自宅を離れずに暮らし続けられるよう、2020年4月の民法改正であらためて整備された権利です。自宅の所有権を誰が相続するかとは別に、「住む権利」だけを配偶者に残せる点が特徴です。ここでは、しくみと似た制度との違い、登記や設定方法、相続税への影響までを順に整理します。

1. 配偶者居住権とは?意味と成立要件

配偶者居住権とは、亡くなった人(被相続人)の配偶者が、相続開始の時点で居住していた被相続人所有の建物に、原則として亡くなるまで(または一定期間)無償で住み続けられる権利です。2020年4月1日に施行された制度で、次の要件を満たす場合に成立します。

自宅の「所有権」と「住む権利(配偶者居住権)」を分けることで、配偶者は所有権そのものを相続しなくても、変わらず自宅で暮らし続けられるようになります。

2. 配偶者短期居住権との違いと使い分け

配偶者居住権と名前が似た制度に「配偶者短期居住権」があります。両者は発生のしかたと期間が大きく異なります。

項目配偶者居住権配偶者短期居住権
発生のしかた遺産分割協議・遺言・審判での設定が必要要件を満たせば自動的に発生
存続期間原則として配偶者が亡くなるまで(別段の定めも可)遺産分割が終わるまで、または一定期間
対象居住していた建物の全部それまで無償で使用していた部分

配偶者短期居住権は、相続が始まってすぐに「とりあえず住み続けられる」ための短期的な権利です。長く住み続けたい場合は、遺産分割などで配偶者居住権を別途設定する必要があります。

3. 登記をしないと対抗できない点と登記手続きの流れ

配偶者居住権は、登記をしなければ第三者に対抗できません。自宅の所有権を取得した相続人が、その建物を第三者に売却したり、担保に入れたりした場合、登記がなければ配偶者は居住権を主張できないおそれがあります。

登記は、設定してすぐに行っておくのが安心です。後回しにしていると、所有者である相続人の事情が変わり、話し合いがしづらくなることもあります。

4. どの方法で設定できるか(遺産分割・遺言・審判)

配偶者居住権は、次のいずれかの方法で設定します。

いずれの方法でも、自宅の所有権を取得する人(多くは子など他の相続人)との合意や手続きが前提になります。生前に希望を伝えておくと、遺産分割の話し合いがスムーズになりやすくなります。

5. 相続税評価額への影響とメリット・デメリット

配偶者居住権には財産的な価値があるとされ、相続税の課税対象になります。自宅については「配偶者居住権」と「所有権(配偶者居住権が設定された後の所有権)」とに分けて評価する考え方がとられており、具体的な評価額の算出は配偶者の年齢や建物の状況などによって変わります。計算方法は複雑なため、正確な評価額は税理士などの専門家に確認することをおすすめします。相続税全体の枠組みについては相続税の基礎控除の記事もご参照ください。

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6. よくある質問

配偶者居住権とは何ですか?

配偶者居住権とは、亡くなった人の配偶者が、相続開始時に住んでいた自宅に、原則として亡くなるまで無償で住み続けられる権利です。2020年4月に始まった制度で、遺産分割や遺言などで設定します。

配偶者居住権と配偶者短期居住権はどう違いますか?

配偶者居住権は原則終身で、遺産分割協議や遺言などで設定しないと発生しません。配偶者短期居住権は要件を満たせば自動的に発生し、遺産分割が終わるまでなど短期間、無償で住み続けられる権利です。

配偶者居住権は登記しないとどうなりますか?

登記をしていないと、自宅を取得した人がそれを第三者に売却したり担保に入れたりした場合に、配偶者居住権を第三者に対抗できなくなるおそれがあります。設定後は早めに登記することが大切です。

配偶者居住権を設定するとどんなメリット・デメリットがありますか?

自宅に住み続けながら預貯金など他の財産も受け取りやすくなる点がメリットです。一方、自宅の所有権は得られず将来の売却や活用が難しくなる場合がある点、相続税評価の計算が複雑になる点はデメリットとして理解しておく必要があります。

リリーフノート
北林 歩 ReliefNote 創業者。家族の重要情報マネージャ「ReliefNote」を開発。