相続財産の調べ方【財産目録の作り方】
通帳・郵便物・契約書類から手がかりを探し、銀行・証券会社・保険会社に個別に照会します。不動産は名寄帳、負債は信用情報機関で確認できます。集めた情報は財産目録にまとめておくと、その後の手続きがぐっとスムーズになります。
相続の手続きを進めるには、まず「故人がどんな財産を持っていたか」を把握する必要があります。しかし多くの場合、家族はその全体像を知りません。この記事では、財産を漏れなく調べるための具体的な手順を、手がかりの探し方から照会制度、目録の作り方まで順番に解説します。
1. まず手がかりを集める
いきなり金融機関に問い合わせる前に、自宅にある書類から手がかりを集めておくと効率的です。
- 通帳・キャッシュカード — 記帳履歴から取引先の金融機関や、他行への振込・引き落としの痕跡が分かります。
- 郵便物 — 銀行・証券会社からの取引報告書、保険会社からの契約内容のお知らせ、督促状などは重要な手がかりです。半年〜1年分をまとめて確認しましょう。
- 印鑑・印鑑登録カード — 契約に使われた印鑑が分かると、関連する書類を絞り込みやすくなります。
- 固定資産税の納税通知書 — 毎年春頃に届くもので、所有する不動産の一部が記載されています。
- スマートフォン・パソコンのアプリ・メール — ネット銀行やネット証券は紙の郵便物が届かないことも多く、デジタル上の記録が唯一の手がかりになる場合があります。
2. 銀行預金を調べる
心当たりのある金融機関が分かったら、相続人であることを証明する書類(死亡の事実が分かる書類、戸籍謄本など、金融機関ごとに指定あり)を持参・提出し、口座の有無や残高証明書の発行を依頼します。
- 残高証明書 — 死亡日時点の残高を証明する書類。相続税の申告や遺産分割の資料として使えます。
- 取引履歴(明細) — 生前の入出金の流れを確認したいときに請求できます。
- 複数の支店に口座がある可能性がある場合は、本店(本部)で一括照会できる金融機関もあります。窓口で確認してみましょう。
3. 証券・保険を調べる
株式や投資信託、保険についても、心当たりがない場合に確認できる制度があります。
- 証券保管振替機構(ほふり)への開示請求 — 故人がどの証券会社に口座を持っていたかを、まとめて確認できる制度があります。相続人から所定の書類で開示請求が可能です。
- 生命保険契約照会制度 — 生命保険協会が窓口となり、加入していた生命保険会社を横断的に確認できる制度です。契約の有無が分からない場合に利用できます。
- 証券会社・保険会社が分かった時点で、各社に個別に問い合わせ、契約内容や評価額を確認します。
相続の期限は複数あり、うっかり過ぎてしまうと不利になるものもあります。全体の期限感は 相続の期限一覧 の記事もあわせてご確認ください。
4. 不動産を調べる(名寄帳)
不動産は、所有している市区町村ごとに管理されているため、まずは「どの自治体に不動産があるか」の見当をつけることが出発点になります。
- 名寄帳(なよせちょう) — 不動産がある市区町村の役場で取得できる書類で、その自治体内で故人名義になっている土地・建物を一覧で確認できます。相続人であることを証明する書類があれば請求可能です。
- 固定資産税の課税明細書 — 自宅に届いていないか確認します。所有する不動産の一部が記載されています。
- 複数の自治体に不動産を所有していた可能性がある場合は、心当たりのある自治体ごとに名寄帳を取り寄せる必要があります。
5. 負債も忘れずに調べる
相続では、プラスの財産だけでなく借金などの負債も相続の対象になります。財産より負債が多い場合は、相続放棄という選択肢もあるため、早めに確認しておくことが重要です。
- 信用情報機関への開示請求 — JICC(日本信用情報機構)、CIC、全国銀行協会の個人信用情報センターなどに、相続人から開示請求ができます。故人名義のローンやクレジットカードの利用状況が分かります。
- 郵便物の督促状・契約書 — 借入先からの通知が残っていないか確認します。
- 連帯保証人になっていないか — 保証契約は書類が手元に残りにくいため、見落としやすい点です。
| 財産の種類 | 確認方法 | 主な窓口 |
|---|---|---|
| 預貯金 | 心当たりの金融機関へ照会 | 各銀行・信用金庫 |
| 株式・投資信託 | 開示請求で口座を横断確認 | 証券保管振替機構 |
| 生命保険 | 契約照会制度を利用 | 生命保険協会 |
| 不動産 | 名寄帳で一覧確認 | 不動産所在地の市区町村役場 |
| 負債(ローン等) | 開示請求で利用状況を確認 | 信用情報機関(JICC・CICほか) |
6. 財産目録にまとめて共有する
調べた情報はそのままにせず、財産目録として一覧にまとめておくと、その後の相続人同士の話し合いがスムーズになります。
- プラスの財産(預貯金・株式・不動産・保険など)とマイナスの財産(借入金など)を分けて記載します。
- それぞれの金額・評価額・所在(金融機関名や不動産の所在地)を書き添えます。
- 相続人全員で目録を共有し、遺産分割の話し合いの土台にします。話し合いの結果は書面に残しておくと、後々のトラブル防止にもつながります。合意内容のまとめ方は 遺産分割協議書の書き方 も参考になります。
財産の調査は一度にすべて終わらせる必要はありません。分かったところから目録に書き足していく、という進め方でも大丈夫です。
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通帳・郵便物・契約書類から手がかりを探し、銀行や証券会社、保険会社に取引の有無を照会します。不動産は市区町村役場の名寄帳で確認できます。集めた情報は財産目録にまとめると全体像がつかみやすくなります。
心当たりのある金融機関に、死亡の事実と相続人であることを示す書類(死亡診断書の写し、戸籍謄本など)を提出し、口座の有無や残高証明書の発行を依頼できます。すべての銀行を一括で検索できる制度はないため、心当たりのある金融機関に一件ずつ確認するのが基本です。
不動産がある市区町村の役場で「名寄帳」を取得すると、その自治体内で故人名義になっている土地・建物を一覧で確認できます。自宅に固定資産税の課税明細書が残っていないかも確認しましょう。
信用情報機関(JICC・CIC・全国銀行協会の個人信用情報センターなど)に相続人から開示請求をすることで、故人名義のローンやクレジットの利用状況を確認できます。郵便物に督促状や契約書がないかも手がかりになります。
