相続

相続放棄しても残る「管理義務」とは?2023年民法改正でどう変わったか

2026年8月20日監修:ReliefNote 創業者 北林 歩読了 約7分
結論

相続放棄をしても、実家などを「現に占有」していた相続人には保存義務が残ります。2023年4月施行の改正民法940条で対象が「占有していた人」に限定され、同居していなかった相続人の義務は原則なくなりました。

この記事の内容
  1. 2023年民法改正で何が変わったか
  2. 対象になりやすいケース
  3. 求められる義務の内容
  4. 義務を免れるには
  5. 放置した場合のリスク
  6. よくある質問

「相続放棄をすれば実家のことはもう関係ない」と思われがちですが、実はそうとは限りません。特に実家に同居していた方は、放棄後も一定の義務が残る場合があります。この記事では、2023年4月に施行された改正民法940条の内容と、実務上どう対応すればよいかを整理します。

1. 2023年民法改正で何が変わったか

改正前の民法940条では、相続放棄をした人は「自己の財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産を管理しなければならない」とされ、放棄した相続人全員がこの義務を負うと解釈される余地がありました。実際には実家に住んだこともない相続人にまで管理義務が及ぶのかが曖昧で、不安の声がありました。

2023年4月1日施行の改正では、義務を負う対象が「放棄時に相続財産を現に占有している者」に明確化されました。つまり、実家に住んでいない・関わっていない相続人は、原則としてこの管理義務を負いません。「誰が対象になるか」がはっきりしたことが、今回の改正の大きなポイントです。

2. 対象になりやすいケース

「現に占有している」とは、実際にその不動産を事実上支配している状態を指します。次のようなケースは対象になりやすいと考えられます。

占有の有無は個別の事情によって判断が分かれます。自分が対象になるか迷う場合は、司法書士や弁護士などの専門家に確認しておくと安心です。

相続放棄そのものの期限や手続きの流れは、相続の期限一覧の記事もあわせてご確認ください。

3. 求められる義務の内容

対象になったとしても、求められるのは限定的な内容です。

つまり「住める状態を保つ」というより、「著しく状態を悪化させない」程度の注意が基本ラインです。とはいえ、老朽化した空き家をそのまま放置してよいわけではない点には注意が必要です。

4. 義務を免れるには

占有していた相続人がこの保存義務から解放されるには、家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立て、選任された清算人に財産を引き渡す方法があります。

相続財産清算人の申立ては手続きが専門的です。費用や進め方は事前に家庭裁判所の窓口や司法書士・弁護士に相談することをおすすめします。

5. 放置した場合のリスク

「義務は限定的だから」と実家を完全に放置してしまうと、次のようなリスクが生じ得ます。

不安がある場合は、早めに相続財産清算人の選任を検討するか、家財の片付けだけでも進めておくと、リスクを下げやすくなります。実家の片付けの進め方は生前整理の始め方の記事も参考になります。

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6. よくある質問

相続放棄したら実家の管理義務はなくなりますか?

完全にはなくなりません。相続放棄をしても、放棄時に実家などの相続財産を「現に占有」していた人には、他の相続人や相続財産清算人に引き渡すまで保存義務が残ります。同居していなかった相続人には原則この義務は生じません。

管理義務があると、具体的に何をしなければなりませんか?

求められるのは、今ある状態を大きく損なわないようにする「保存行為」と善管注意義務の範囲です。庭木の剪定や修繕など積極的な維持管理までは求められませんが、倒壊しそうな箇所を放置するなど著しい管理不全は避ける必要があります。

管理義務を完全に免れる方法はありますか?

家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立て、その清算人に財産を引き渡すことで義務を終えられます。申立てには予納金など費用がかかる場合があるため、事前に家庭裁判所や専門家に確認することをおすすめします。

実家を放置すると、どんなリスクがありますか?

倒壊や部材の落下で近隣に損害を与えた場合、占有していた相続人が損害賠償責任を問われる可能性があります。また自治体から空き家対策の指導や勧告を受けることもあるため、早めに管理方針を決めることが大切です。

リリーフノート
北林 歩 ReliefNote 創業者。家族の重要情報マネージャ「ReliefNote」を開発。