遺言執行者とは?選び方・必要な手続きをわかりやすく解説
遺言執行者は、家族(相続人代表など)でも、弁護士・司法書士・信託銀行などの専門家でも就任できます。財産がシンプルで相続人間の関係が良好なら家族、不動産が複数ある・対立の懸念があるなら専門家が安心です。
遺言書に「誰に何を相続させるか」が書かれていても、実際に預貯金を解約したり不動産の名義を変えたりする実務を担うのが遺言執行者です。誰に頼むかで、その後の手続きのスムーズさが大きく変わります。この記事では役割・選び方・流れ・費用を整理します。
1. 遺言執行者の役割と権限の範囲
遺言執行者は、遺言の内容を実現するために必要な一切の行為をする権限を持ちます。相続人の同意を得なくても、単独で次のようなことができます。
- 相続財産の調査・財産目録の作成 — 何がどこにあるかを確定します。
- 預貯金の解約・払い戻し — 相続人全員の実印がなくても手続きできる点が大きな特徴です。
- 不動産の名義変更(相続登記) — 遺贈や特定の相続人への承継を登記します。
- 遺贈の履行 — 相続人以外の第三者や団体への遺贈がある場合、その引き渡しを行います。
遺言執行者がいない場合でも相続人全員の合意で手続きは進められますが、相続人が多い・関係が疎遠・遺贈がある、といったケースでは、遺言執行者を指定しておくことで手続きが格段に進めやすくなります。
2. 家族が担う場合と専門家に依頼する場合の違い
遺言執行者に資格は不要で、未成年者と破産者以外は誰でもなれます。家族が担うか専門家に依頼するかは、状況に応じて選びます。
- 家族・親族(相続人代表など)が担う場合 — 費用を抑えられ、故人や家族の事情をよく理解している点がメリットです。一方で、平日に金融機関や法務局を回る手間がかかり、他の相続人との利害が対立すると板挟みになりやすい面もあります。
- 弁護士・司法書士・信託銀行などの専門家に依頼する場合 — 手続きの実務知識があり、相続人間で意見が分かれやすい場面でも中立的に進めやすいのが強みです。報酬が発生する点は考慮が必要です。
財産が預貯金と自宅程度でシンプル、かつ相続人同士の関係が良好であれば家族での対応も十分可能です。不動産が複数ある、相続人の一部と疎遠、遺贈先が第三者や団体であるといった場合は、専門家への依頼を検討する価値があります。
3. 就任時の通知義務とトラブル予防
遺言執行者に指定された人が就任を承諾すると、遅滞なく相続人全員に、就任した旨と遺言の内容を通知する義務があります。これは法律上の義務であり、省略できません。
あわせて、財産目録を作成して相続人に交付することも義務づけられています。透明性を保つことが、後々の紛争を防ぐ最大のポイントです。
4. 財産目録作成から執行完了までの流れ
一般的な流れは次のとおりです。相続財産の規模や不動産の有無によって所要期間は変わります。
- ①就任の承諾・相続人への通知 — 遺言の内容を確認し、就任を承諾したら速やかに通知します。
- ②相続財産の調査・財産目録の作成 — 預貯金・不動産・有価証券などを洗い出し、目録として相続人に交付します。
- ③各手続きの実行 — 預貯金の解約・払い戻し、不動産の名義変更、遺贈の履行などを進めます。
- ④執行完了の報告 — すべての手続きが終わったら、相続人へ結果を報告して完了です。
財産の内容が単純で相続人間の争いがなければ数か月程度で終わることもありますが、不動産が複数ある場合や相続人間で意見が分かれる場合は、半年から1年以上かかることもあります。所要期間は財産の状況によって大きく異なる点に留意してください。
手続きの前提となる相続の全体像を先に押さえておきたい方は、相続の期限一覧もあわせてご確認ください。
5. 報酬相場と依頼先選びの確認ポイント
遺言執行者への報酬は、遺言書であらかじめ額や算定方法が指定されていればそれに従います。指定がない場合は、相続人と協議するか、家庭裁判所に報酬額の決定を申し立てることもできます。
弁護士・司法書士・信託銀行に依頼する場合は、財産の金額に応じた報酬体系(一定の基本額に、財産額に応じた加算がある形式など)を採る事務所が多く見られます。金額の水準は依頼先や財産構成によって大きく異なるため、契約前に見積もりを取り、内訳を確認しておくことが大切です。
- 報酬の算定基準(財産額に対する割合か、定額か)を事前に確認する
- 不動産の名義変更など、別途実費がかかる項目の有無を確認する
- 複数の専門家から見積もりを取り、対応範囲を比較する
誰にどの財産を託すかは、生前に本人の意思として遺言に残しておくことが何より重要です。財産や契約の情報を日頃から整理しておくと、遺言執行者が就任した際の財産目録作成もスムーズになります。エンディングノートの書き方や遺言書の検認についても参考にしてください。
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相続人代表など家族が担うことも、弁護士・司法書士・信託銀行などの専門家に依頼することもできます。財産構成がシンプルで相続人間の関係が良好なら家族、不動産が複数ある・相続人同士に対立の懸念がある場合は専門家が安心です。
遺言の内容を実現するため、財産目録の作成、預貯金の解約・払い戻し、不動産の名義変更、遺贈の履行などを、相続人の同意を得ずに単独で行う権限が与えられます。
就任を承諾したら、遅滞なく相続人全員に就任した旨と遺言の内容を通知する義務があります。この通知を怠ると、後で相続人から「知らなかった」とトラブルになりやすいため注意が必要です。
遺言書で報酬額があらかじめ指定されていればそれに従います。指定がない場合は家庭裁判所への申立てで決めることもでき、専門家に依頼する場合は財産額に応じた報酬体系を採る事務所が多いです。依頼前に見積もりを確認しましょう。
