仕事中や通勤中の事故で親が死亡したら?労災の遺族補償給付と葬祭料の申請方法
仕事中・通勤中の事故で親が亡くなった場合、労働基準監督署に遺族(補償)給付と葬祭料(葬祭給付)を請求します。受給資格者には優先順位があり、様式12号・16号などに事業主の証明を添えて提出します。厚生年金の遺族年金とは併給調整(減額)があります。
親が仕事中や通勤中の事故で亡くなった場合、健康保険からの給付とは別に、労災保険から遺族(補償)給付と葬祭料を受け取れる可能性があります。会社が加入する労災保険から支給されるもので、勤務先の協力が必要な場面も多いため、早めに流れを把握しておくと手続きがスムーズです。まずは親が亡くなったときのやることリストも参考にしながら、労災特有の手続きを確認していきましょう。
1. 労災保険の遺族補償給付とは
労災保険は、仕事が原因のケガ・病気・死亡(業務災害)と、通勤中の事故によるケガ・病気・死亡(通勤災害)を補償する制度です。親が業務災害で亡くなった場合は「遺族補償年金」「遺族補償一時金」「葬祭料」、通勤災害の場合は「遺族年金」「遺族一時金」「葬祭給付」という名称になりますが、支給内容や請求方法はほぼ同じです。
- 遺族(補償)年金 — 受給資格者がいる場合に、年金として継続的に支給されます。
- 遺族(補償)一時金 — 遺族(補償)年金を受け取れる人がいない場合などに、一時金として支給されます。
- 葬祭料(葬祭給付) — 葬儀を行った人に対して支給されます。
2. 遺族(補償)年金・一時金を受け取れる人は誰か
遺族(補償)年金を受け取れるのは、故人の死亡当時、その収入によって生計を維持していた遺族のうち、法令で定められた優先順位が最も高い方(受給権者)です。一般的な優先順位の考え方は次のとおりです。
- 配偶者(事実婚を含む)
- 子(一定の年齢や障害の要件があります)
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
妻以外の遺族については、死亡時に一定の年齢に達しているか、一定の障害の状態にあることなどが条件になる場合があります。年齢・障害の具体的な要件は個々の事情で判断が異なるため、労働基準監督署での確認が必要です。受給権者が受給資格を失った場合、次順位の遺族に受給権が移る「転給」という仕組みもあります。
受給資格者が誰もいない場合は、遺族(補償)一時金が、法令で定められた範囲の遺族に支給されます。
3. 労働基準監督署への請求手続きと必要書類
遺族(補償)給付は、故人の勤務先を管轄する労働基準監督署に請求書を提出して申請します。主な請求様式は次のとおりです。
- 様式第12号 — 業務災害による遺族(補償)年金の請求書
- 様式第16号の8 — 通勤災害による遺族年金の請求書
- 様式第15号・16号の9 — 遺族(補償)一時金の請求書(該当する場合)
請求書には、故人の勤務状況や死亡の状況について事業主(会社)の証明を受ける欄があります。あわせて、次のような書類の添付が一般的に求められます。
- 死亡診断書または死体検案書
- 故人と請求者の続柄が分かる戸籍謄本
- 生計維持関係を確認できる書類(住民票など)
- 死亡の原因や状況が分かる資料
必要書類は業務災害か通勤災害か、家族構成によっても変わるため、提出前に労働基準監督署へ確認すると手戻りが少なくなります。会社の労務担当者が手続きに詳しい場合も多いので、遠慮せず相談しましょう。
4. 葬祭料(葬祭給付)の請求方法と金額の考え方
葬祭料(葬祭給付)は、実際に葬儀を執り行った方(喪主など)が請求できます。業務災害の場合は様式第16号、通勤災害の場合は様式第16号の10を、労働基準監督署に提出します。
支給額は、故人の賃金水準をもとにした給付基礎日額を用いた計算式による金額と、給付基礎日額の一定日数分に相当する金額とを比較し、高い方が支給される仕組みになっています。具体的な金額は故人の賃金額によって個人ごとに異なるため、労働基準監督署での計算・確認が必要です。
5. 厚生年金の遺族年金との併給調整
故人が厚生年金に加入していた場合、遺族には厚生年金の遺族厚生年金も別途支給される可能性があります。労災の遺族(補償)年金と厚生年金の遺族年金は、要件を満たせばどちらも受け取ることができますが、同一の死亡を理由とする給付が重なるため、労災側の遺族(補償)年金が一定の調整率で減額される仕組みになっています。
調整の考え方や具体的な減額の程度は、受給する年金の組み合わせや個々の状況によって異なります。正確な金額は労働基準監督署と年金事務所の双方に確認する必要があります。厚生年金側の手続きについては遺族年金の請求方法もあわせてご覧ください。
6. 請求期限(時効)と通勤災害との違い
- 遺族(補償)年金・一時金の時効 — 請求権は死亡日の翌日から5年で時効により消滅します。
- 葬祭料(葬祭給付)の時効 — 請求権は死亡日の翌日から2年で時効により消滅します。
- 業務災害と通勤災害の違い — 業務中の事故は「業務災害」、通勤経路上の事故は「通勤災害」として扱われ、給付の名称(「補償」の有無)や請求様式が異なりますが、支給内容や金額の考え方はほぼ共通しています。
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故人の勤務先を管轄する労働基準監督署に、遺族(補償)給付は様式12号または16号の8、葬祭料は様式16号などを提出して請求します。事業主の証明と死亡・続柄を示す書類が必要です。
死亡当時、故人の収入で生計を維持していた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹のうち、法令で定められた優先順位が最も高い方が受給権者になります。年齢や障害の有無によって条件が加わる場合があります。
葬祭料(葬祭給付)は、給付基礎日額をもとにした計算式による金額と、給付基礎日額の一定日数分の金額を比較し、高い方が支給される仕組みです。具体的な金額は労働基準監督署での計算によります。
両方とも要件を満たせば受け取れますが、同一の事由による給付が重なる場合は労災側の遺族補償年金が調整(減額)される仕組みになっています。実際の調整率は状況により異なるため、労働基準監督署や年金事務所での確認が必要です。
