相続・お金

遺産分割前でも預金は引き出せる?相続の仮払い制度をわかりやすく解説

2026年8月15日監修:ReliefNote 創業者 北林 歩読了 約7分
結論

遺産分割協議が終わっていなくても、「預貯金の仮払い制度」を使えば、相続人が単独で一定額まで故人の預金を引き出せます。上限は金融機関ごとに150万円と、残高×1/3×法定相続分の低い方です。葬儀費用や当面の生活費に活用できます。

この記事の内容
  1. 仮払い制度とは・創設の背景
  2. 引き出せる上限額の計算方法
  3. 手続きに必要な書類
  4. 上限を超える場合は家庭裁判所の保全処分
  5. 引き出した資金の使い道と後の精算
  6. よくある質問

家族が亡くなると、口座は金融機関が死亡の事実を把握した時点で凍結され、原則としてすべての相続人の同意(遺産分割協議の成立)がなければ払い戻しを受けられません。しかし葬儀費用の支払いや、故人と生計をともにしていた家族の当面の生活費など、すぐにお金が必要になる場面は少なくありません。そうした事情に対応するために設けられたのが「預貯金の仮払い制度」です。この記事では、制度の仕組みから必要書類、上限を超えたいときの対応まで整理します。

1. 仮払い制度とは・創設の背景

以前は、遺産である預貯金は相続人全員の同意がなければ払い戻しを受けられないとする最高裁判例があり、相続人の一人が葬儀費用などに困っても、単独では口座からお金を引き出せませんでした。

2. 引き出せる上限額の計算方法

金融機関窓口で単独請求できる仮払いの金額は、次の計算式で決まります。

具体的な上限額や運用の細部は金融機関により異なります。実際に手続きする前に、口座がある金融機関の窓口やコールセンターに確認することをおすすめします。

3. 手続きに必要な書類

仮払いの請求には、相続人であることを証明する書類一式が必要です。一般的に求められるのは次のような書類ですが、金融機関により異なるため事前確認が安心です。

戸籍謄本一式は本来、他の相続手続きでも必要になるものです。戸籍の集め方を先に確認しておくと、仮払いの手続きもスムーズに進められます。

4. 上限を超える場合は家庭裁判所の保全処分

葬儀費用が高額になったり、生活費として上限額では足りなかったりする場合は、家庭裁判所を通じた仮払いの方法もあります。

保全処分は法的な手続きのため、申し立ての要否や進め方に迷う場合は、家庭裁判所や弁護士など専門家に相談することをおすすめします。

5. 引き出した資金の使い道と後の精算

仮払い制度で引き出した預金の使い道に法律上の制限はありませんが、実務上は葬儀費用や当面の生活費、故人の医療費の精算などに充てられることが多いです。

葬儀費用の目安や内訳については葬祭費・埋葬料の記事もあわせてご覧ください。また、相続全体の期限を確認したい場合は相続手続きの期限一覧が参考になります。

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6. よくある質問

遺産分割前でも故人の預金は引き出せますか?

はい。2019年の民法改正で創設された「預貯金の仮払い制度」を使えば、遺産分割協議が終わる前でも、一定額まで単独で払い戻しを受けられます。葬儀費用や当面の生活費に充てられます。

仮払いで引き出せる上限額はいくらですか?

「相続開始時の預金残高×3分の1×自分の法定相続分」で計算した額と、金融機関ごとに定められた上限額(一般的に150万円)のいずれか低い方が上限です。上限は口座ごとではなく金融機関単位で適用されます。

仮払いにはどんな書類が必要ですか?

一般的に、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式、相続人全員の戸籍謄本、払い戻しを受ける相続人の印鑑証明書、金融機関所定の申請書などが必要です。必要書類は金融機関により異なるため、事前確認が安心です。

上限額を超えて引き出したい場合はどうすればいいですか?

家庭裁判所に遺産分割の審判または調停を申し立てたうえで、保全処分(仮払いの仮処分)を申し立てる方法があります。他の相続人の利益を害さないと認められれば、上限を超えた金額の仮払いが認められることがあります。

リリーフノート
北林 歩 ReliefNote 創業者。家族の重要情報マネージャ「ReliefNote」を開発。