企業型確定拠出年金(企業型DC)の死亡一時金請求方法と必要書類
企業型DC加入者が亡くなったら、勤務先が契約する記録関連運営管理機関に「裁定請求書」を提出して死亡一時金を請求します。受取人は指定があればその方、なければ法令の順位で決まり、死亡診断書写しや戸籍謄本などの書類が必要です。
企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入していた方が亡くなると、それまで積み立てた資産は「死亡一時金」として遺族が受け取れます。ただし、老齢給付金のように自動的に振り込まれるわけではなく、遺族側から請求する必要があります。この記事では、請求先の見つけ方から必要書類、税金の考え方までを順に整理します。
1. 企業型DCとiDeCoで請求先が違う
まず確認したいのは、故人が加入していたのが企業型DCか個人型iDeCoかという点です。窓口が異なります。
- 企業型DC — 勤務先が契約している「記録関連運営管理機関」(信託銀行や生命保険会社、専門の運営管理機関など)が窓口です。どこと契約しているかは、勤務先の年金担当部署や、加入時に届いていた「加入者向けサイトのログイン情報」の案内から確認できます。
- 個人型iDeCo — 国民年金基金連合会が実施主体で、加入者本人が選んだ運営管理機関(証券会社・銀行など)が窓口になります。企業型と個人型の両方に加入していた(企業型からiDeCoへ資産を移換していた等の)ケースもあるため、両方の可能性を確認しておくと安心です。
2. 死亡一時金の請求先と請求期限の目安
請求先が分かったら、運営管理機関に連絡して「裁定請求書」の様式を取り寄せます。主な流れは次のとおりです。
- 運営管理機関に連絡 — 加入者が亡くなった旨を伝え、死亡一時金の請求様式を送ってもらいます。
- 裁定請求書に記入 — 受取人の情報、故人の情報、資産の受取方法(一時金として受け取るのが基本です)などを記入します。
- 必要書類を添えて提出 — 記入した請求書に、戸籍謄本や死亡診断書の写しなど後述の書類を添付して提出します。
死亡一時金を受け取る権利には時効があり、加入者の死亡日の翌日から5年で消滅するとされています。5年はまだ先に感じるかもしれませんが、他の相続手続きに紛れて忘れてしまうケースもあるため、早めに着手することをおすすめします。
3. 受取人が指定されている場合・されていない場合
死亡一時金の受取人は、加入者が生前に指定していたかどうかで決まり方が変わります。
- 受取人を指定していた場合 — 指定された方が受取人になります。加入者向けサイトや申込時の書類で受取人指定の有無を確認できます。
- 受取人を指定していなかった場合 — 法令で定められた順位に従います。一般的には、①配偶者(事実婚を含む場合あり)、②生計を維持されていた子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹、③その他の子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹、④その他の親族、という順に近い形で定められています。具体的な順位や範囲は制度・約款により細部が異なるため、運営管理機関に確認してください。
民法上の相続順位とは異なる独自のルールである点に注意が必要です。「配偶者と子がいるのに、指定がなかったため配偶者が受け取った」というように、遺産分割協議を経ずに受取人が確定するのが特徴です。遺言書の内容と受取人指定が食い違う場合の扱いも、運営管理機関や専門家に確認しておくと安心です。関連して遺産分割協議書の書き方や遺言書がある場合の手続きも参考にしてください。
4. 請求に必要な書類
必要書類は運営管理機関によって多少異なりますが、一般的には次のようなものが求められます。
- 裁定請求書(運営管理機関所定の様式)
- 死亡診断書(死体検案書)の写し、または死亡の事実が分かる住民票除票など
- 戸籍謄本 — 故人の死亡と、請求者が受取人(または法定の受給順位者)であることを確認するために必要です。出生から死亡までの連続した戸籍を求められる場合もあります。
- 受取人の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 受取口座の情報が分かるもの(通帳の写しなど)
- マイナンバー確認書類(税務処理のため求められることがあります)
5. 死亡一時金にかかる税制上の扱い
死亡一時金は民法上の相続財産ではありませんが、税法上は「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。ただし、死亡保険金と同じように非課税枠が設けられています。
- 非課税枠の考え方 — 「500万円 × 法定相続人の数」までは相続税がかかりません。この非課税枠は死亡保険金と合算して計算されるため、保険金も受け取る場合は合計額で判定します。
- 受取人が相続人でない場合 — 法定相続人以外の方(内縁関係の方など)が受け取る場合は、非課税枠が使えないなど扱いが異なることがあります。
- 他の相続財産との合算 — 実際の相続税額は、預貯金や不動産など他の財産と合わせて計算します。基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)を超えるかどうかも含め、具体的な金額は税理士に確認することをおすすめします。
相続税全体の考え方は相続税の基礎控除の記事もあわせてご覧ください。
6. 手続きを止めないために、まず確認したいこと
死亡一時金の請求で家族が最初につまずくのは、「そもそも企業型DCに加入していたかどうか分からない」というケースです。給与明細や年末調整の書類、加入時の案内資料などに手がかりが残っていることが多いので、探す場所を家族間で共有しておくと安心です。
企業型DCに限らず、口座・保険・年金・契約などの「どこに何があるか」を元気なうちにまとめておくと、いざというときに家族が迷わずに済みます。
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故人が加入していた企業型DCの「記録関連運営管理機関」に請求します。勤務先の年金担当窓口や、加入時に届いた資料に記載の運営管理機関に確認すると分かります。個人型iDeCoは国民年金基金連合会が窓口となり、企業型とは異なります。
加入者が受取人を指定していればその方が優先されます。指定がない場合は、法令で定められた順位(配偶者、生計を維持されていた子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹、その他の親族の順など)に従って決まります。
死亡一時金を受け取る権利は、加入者の死亡日の翌日から5年で時効により消滅するとされています。忘れないうちに、できるだけ早く運営管理機関へ連絡することをおすすめします。
死亡一時金は「みなし相続財産」として相続税の対象になりますが、死亡保険金と同様に「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が使えます。具体的な計算は他の相続財産と合わせて税理士等にご確認ください。
