内縁の夫・妻が亡くなったら何をすべき?手続きと相続の注意点
内縁の夫・妻は同居していれば死亡届の届出人にはなれますが、法律上の相続人ではないため財産は原則相続できません。遺言や特別縁故者制度がなければ、賃貸・保険・年金なども名義人本人としての権利は失われます。早めに相手の親族と連絡を取り、必要な手続きを一つずつ進めましょう。
婚姻届を出していない「事実婚」「内縁関係」のパートナーが亡くなったとき、直面するのは通常の死別以上に複雑な問題です。長年連れ添っていても、法律上は「配偶者」として扱われないため、相続や公的な給付の場面で戸籍上の家族との違いが表れます。この記事では、内縁の夫・妻が亡くなった直後にすべきことと、相続にまつわる注意点を整理します。
1. 死亡届は内縁パートナーでも出せる?
死亡届の届出人になれる人は戸籍法で定められており、親族や親族以外の同居者も含まれます。したがって、同居していた内縁の夫・妻は「同居者」として届出人になることができます。
- 死亡診断書(死体検案書)を医師から受け取る — その後の手続きすべての土台になるため、コピーを複数部とっておきます。
- 死亡届の提出(7日以内) — 実際の窓口提出は葬儀社が代行することが多く、届出人欄に名前を書く形で対応できます。
- 火葬許可証の受け取り — 死亡届と同時に手続きします。
2. 財産は相続できない?遺言と特別縁故者
ここが内縁関係で最も誤解されやすいポイントです。日本の相続制度では、法律上の配偶者(婚姻届を提出した相手)のみが法定相続人となり、内縁の夫・妻は何十年連れ添っていても法定相続人には含まれません。財産は、亡くなった方の子・親・きょうだいなど、戸籍上の親族に渡ります。
財産を残したい・受け取ってほしいという意思がある場合、生前にとれる備えは主に次の2つです。
- 遺言書の作成 — 公正証書遺言などで「内縁の妻(夫)に財産を遺贈する」と明記してもらう方法です。ただし、他に法定相続人がいる場合は遺留分への配慮が必要になることがあります。
- 特別縁故者としての財産分与の申立て — 亡くなった方に法定相続人が誰もいないことが確定した場合に限り、生計を共にしていた内縁の配偶者などが家庭裁判所に申し立て、財産の全部または一部を受け取れる制度です。相続人がいる場合はこの制度を使えません。
3. 賃貸・公共料金・保険の名義変更と解約
同居していた住まいや日常の契約は、名義人が誰だったかによって対応が変わります。
- 賃貸契約 — 名義人が亡くなった場合、内縁の配偶者は法定相続人ではないため契約を当然には引き継げません。ただし判例上、事実上の相続人の権利を援用して居住を継続できるとされる場合があります。まずは貸主・管理会社に早めに事情を伝えて相談しましょう。
- 公共料金・通信契約 — 名義人本人が亡くなったことを各社に連絡し、同居していた自分の名義に変更するか、解約するかを選びます。同居の実態を証明する書類を求められることがあります。
- 生命保険 — 受取人に内縁の配偶者が指定されていれば、保険金は原則として指定通り受け取れます。保険会社によっては内縁関係を証明する書類(住民票・同居期間が分かる資料など)の提出を求められる場合があります。
公共料金の名義や解約の進め方は、公共料金の名義変更の記事もあわせて確認してみてください。
4. 遺族年金・健康保険はどうなる?
年金と健康保険は、内縁関係でも一定の要件を満たせば認められる制度と、原則認められない制度が混在しているため注意が必要です。
- 遺族年金 — 法律婚でなくても、生計維持関係などの要件を満たす事実婚として認められれば遺族年金を請求できる場合があります。ただし、住民票の続柄記載や第三者の証明など、法律婚より提出書類が多く必要になるのが一般的です。年金事務所に早めに相談しましょう。
- 健康保険の被扶養者 — 内縁の配偶者が亡くなった方の健康保険の扶養に入っていた場合、その資格は失われます。自身で国民健康保険や勤務先の健康保険に加入し直す手続きが必要です。
5. 葬儀・埋葬は主宰できる?親族との調整
喪主を誰が務めるかについて、法律上の決まりはありません。内縁の夫・妻が長年連れ添った相手として喪主を務めること自体は可能です。ただし、実務上は相手の親族の理解と協力が欠かせません。
- できるだけ早く相手の親族に連絡し、亡くなった経緯や自分との関係を丁寧に伝えます。
- 葬儀の形式・費用負担・埋葬場所について、親族と役割分担をすり合わせておきます。
- 遺骨や位牌の扱いなど、法律上の決まりがない部分ほど、事前の話し合いが後々のトラブルを防ぎます。
葬儀費用や埋葬料の一般的な流れは葬祭費・埋葬料の記事で解説しています。
「言った・言わない」を防ぐ、生前の記録
内縁関係では、遺言の有無や財産の所在、相手の親族の連絡先など、「本人に聞いておかないと分からないこと」が特に重要になります。ReliefNoteは、そうした情報を元気なうちに1か所へ記録しておける無料のサービスです。
ReliefNote を無料で使ってみる6. よくある質問
同居していれば「同居者」として死亡届の届出人になれます。ただし実際の窓口提出は葬儀社が代行することが多く、届出人の欄に名前を記載する形でも手続きは進められます。
内縁関係は法律上の配偶者ではないため、法定相続人にはなれず、原則として財産を相続できません。生前に遺言書を作成してもらうか、相続人が誰もいない場合に限り特別縁故者として財産分与を家庭裁判所に申し立てる方法があります。
遺族年金は事実婚であっても生計維持関係などの要件を満たせば請求できる場合がありますが、審査は法律婚より書類が多く必要です。健康保険の被扶養者についても、亡くなった後の給付継続は原則できず、自身で国民健康保険などに加入し直す必要があります。
賃貸借契約の名義人が亡くなった場合、内縁の配偶者は法定相続人ではないため契約を当然には引き継げませんが、判例上、事実上の相続人の権利を援用して居住を継続できるとされるケースがあります。まずは貸主・管理会社へ早めに相談することが大切です。
喪主を誰が務めるかに法律上の決まりはなく、内縁のパートナーが喪主を務めること自体は可能です。ただし相手の親族の理解や協力が欠かせないため、早めに事情を伝え、連絡や役割分担をすり合わせておくと後のトラブルを避けやすくなります。
